塗装および粉体スプレー装置

1.塗装・粉体吹付装置の特徴

効率

塗装・粉体噴霧装置により迅速な塗装が可能です。スプレーガンにより、短時間でワーク表面に大量の粉体塗料を均一に吹き付けることができます。たとえば、一部の大規模な金属製家具の生産ラインでは、自動粉体塗装装置により大型の家具コンポーネントのスプレーを数分で完了でき、生産効率が大幅に向上します。

環境への配慮

粉体塗装自体に有機溶剤が含まれておらず、吹き付け工程において揮発性有機化合物（VOC）がほとんど発生しません。従来の液体コーティングと比較して、環境汚染が大幅に少なくなります。たとえば、自動車部品の塗装の分野では、粉体塗装装置を使用することで有害なガスの排出を削減し、ますます厳しくなる環境要件を満たすことができます。

高いコーティング品質

粉体塗装は均一で厚い塗膜を形成することができます。ワークの表面欠陥を良好にカバーでき、コーティングの密着力も強いです。たとえば、建築用アルミニウム合金形材の塗装では、粉体塗装後の形材の表面塗装は滑らかで平坦で、耐候性と耐食性に優れており、形材を効果的に保護できます。

経済的実行可能性

粉体塗装の利用率は比較的高いです。粉体スプレー装置は、ワークに付着しなかった粉体を回収し、ふるい分け等の処理を行った上で再利用できるため、一般的な粉体利用率は95％以上に達します。これにより塗料の無駄が減り、長期的には生産コストが節約されます。

2.塗装・粉体噴霧装置の構成部品

（1） 粉体スプレーガン

手動粉体ガン

手動パウダーガンは主に小さなワークピースや、高いスプレー精度が必要な局所的な領域に使用されます。ガン本体、ノズル、電極針などの部品で構成されています。オペレータはスプレーガンの角度、距離、噴霧時間を手動で制御し、粉体噴霧を実現します。たとえば、一部の手工芸品の塗装では、職人は手動の粉体ガンを使用して手工芸品の細部を細かくペイントできます。

自動粉体ガン

自動パウダーガンは通常、自動生産ラインのスプレー装置に取り付けられます。あらかじめ設定したプログラムに従って自動的にワークに噴霧することができます。その構造はより複雑で、一般に高圧発生器、粉体ポンプ、流動化装置などが含まれます。車体塗装生産ラインでは、自動粉体ガンは設定された軌道とパラメーターに従って車体に迅速かつ均一にスプレーできます。

（2）粉体供給装置

パウダーバケツ

パウダーバケットは、粉体塗料を保管するための容器です。粉体塗装の汚れを防ぐために、通常はステンレス鋼素材で作られています。粉体塗料の凝集を防ぐため、粉体バケット内に撹拌装置が付いています。たとえば、大規模な工業用塗装作業場では、粉体ドラムの容量が数百リットルに達する場合があり、長期的な生産ニーズに対応できます。

粉体供給ポンプ

粉体供給ポンプの機能は、粉体バケットからスプレーガンに粉体塗料を輸送することです。一般的なものにはベンチュリポンプやスクリューポンプなどがあります。ベンチュリポンプは高速空気流により発生する負圧を利用して粉体を輸送し、スクリューポンプはスクリューの回転により粉体を前方に押し出します。実際の用途では、さまざまな粉体塗料の特性とスプレー要件に基づいて、適切な粉体供給ポンプを選択する必要があります。

流動化装置

流動化装置は、粉体バケット内で粉体塗料を良好な流動状態に保つように設計されています。粉体バケットの底に適量の圧縮空気を注入し、粉体塗料を液体状にして粉体ポンプで輸送しやすくします。流動効果が悪い場合、粉体塗装が粉体供給パイプラインを詰まらせる可能性があります。

（3）リサイクル装置

サイクロンセパレーター

サイクロンセパレーターはリサイクル装置の重要な部品です。スプレー工程でワークに付着しなかった粉体がリサイクルシステムに吸い込まれると、まずサイクロン分離器に入ります。サイクロンセパレーターでは、高速回転空気流の作用により、さまざまな遠心力により、より大きな粉末粒子が分離され、セパレーターの底に沈降して回収されます。

フィルターカートリッジフィルター

サイクロンセパレーターを通過した後、微粉末粒子はフィルターエレメントを通してさらにろ過されます。フィルター カートリッジは通常、小さな粉末粒子を効果的にろ過できるポリエステル繊維などの素材で作られています。濾過された粉末は、フィルターの逆洗効果により再利用のためにリサイクルシステムに戻されます。

パイプラインとファンのリサイクル

リサイクルパイプラインは、さまざまなリサイクルコンポーネントを接続し、未付着の粉末をリサイクル装置に輸送するために使用されます。ファンはリサイクルシステム内に負圧を発生させる動力を供給し、粉体のスムーズな回収を保証します。

（4） 硬化設備

硬化炉

硬化炉は粉体塗料を固化させて塗膜を形成するための重要な装置です。通常、電気加熱またはガス加熱方式が使用されます。硬化炉内では、ワーク表面の粉体塗装が一定の温度と時間条件下で化学反応を起こし、硬くて滑らかな塗膜が形成されます。例えば金属製品の塗装では、硬化炉の温度は通常180～200℃程度に設定されており、硬化時間は塗装の種類やワークの厚みなどによって異なります。

温度制御システム

温度制御システムを採用し、硬化炉内の温度を精密に制御します。これには、温度センサー、コントローラー、発熱体が含まれます。硬化炉内の温度は温度センサーによってリアルタイムに監視され、その信号がコントローラーにフィードバックされます。コントローラーは、設定された温度パラメータに基づいて発熱体の出力を調整し、硬化プロセス中の温度の安定性を確保します。

3.塗装・粉体噴霧装置の応用産業

（1）自動車及び自動車部品産業

車体塗装

車体には美観と防食性能が求められます。粉体塗装装置は車体に均一かつ高品質な塗装を施すことができます。また、環境に優しいため、ますます厳しくなる自動車業界の環境基準を満たしています。たとえば、一部の電気自動車ブランドはボディ塗装工程で粉体塗装装置を広範囲に使用しており、これにより生産効率が向上するだけでなく、環境汚染も削減されます。

自動車部品の塗装

ホイールハブやエンジンマウントなどの自動車部品も粉体塗装装置を使用して広く塗装されています。ホイールハブの場合、粉体塗装後のコーティングにより耐摩耗性と耐食性が向上すると同時に、さまざまな消費者のニーズを満たすさまざまな色や外観効果を実現できます。

（2）家電業界

冷蔵庫のシェルコーティング

冷蔵庫のシェルには美しく耐久性のあるコーティングが必要です。粉体塗装装置は、冷蔵庫のシェルに滑らかで明るい色の塗装を施すことができ、粉体塗装の耐傷性により、日常使用中に冷蔵庫の外観を良好に保つことができます。たとえば、一部の高級冷蔵庫ブランドでは、粉体塗装技術を使用して冷蔵庫のシェルに金属的な質感を与えながら、優れた保護性能も提供しています。

洗濯機のシェルコーティング

洗濯機のシェルは水や洗剤などの化学薬品と接触することが多く、優れた耐食性が求められます。粉末スプレー装置によって形成されたコーティングは、洗濯機のシェルを効果的に保護し、市場の需要に応じてさまざまな色やパターンのコーティングを簡単に実現できます。

（3）金属家具産業

テーブルと椅子の塗装

金属製のテーブルと椅子は、屋外と屋内の両方で使用できるよう、優れた外観と耐久性を備えている必要があります。粉体塗装設備を使用した塗装により、テーブルや椅子などにさまざまな色や質感の塗装が可能です。たとえば、屋外の金属製のテーブルや椅子の塗装では、粉体塗装の耐候性により日光や雨に耐えることができ、テーブルや椅子の耐用年数を延ばすことができます。

ファイルキャビネットの塗装

ファイルキャビネットには、傷や腐食を防ぐために頑丈なコーティングが必要です。粉体塗装装置は、ファイリングキャビネットに高品質の塗装を提供することができ、マット、光沢など、オフィス環境のニーズに応じてさまざまな色と光沢度の塗装を実現できます。

（4）建設業

アルミニウム合金のドアと窓のコーティング

アルミニウム合金のドアや窓には、優れた耐候性と装飾性が必要です。粉体塗装装置によって提供されるコーティングは、アルミニウム合金のドアや窓を外部環境の浸食から効果的に保護すると同時に、建物の全体的なスタイルにマッチするさまざまな色や質感の効果を実現します。

カーテンウォールコーティング

カーテンウォールを構築する面積は通常大きく、コーティングの品質と外観には高い要件が求められます。粉体塗装装置は、カーテンウォールに均一で美しい塗装を迅速かつ効率的に施すことができ、粉体塗装の耐老化性により、カーテンウォールの長期使用においても良好な外観を維持することができます。